2008年10月05日

時間は実在するか

旧知の友と食事。
高校生の時に一度か二度だけ会ったことがある人と再会。
しかしmixiで日記など読んでいるため、その久しぶり感はとても微妙(※1)。
時間と空間のありかたを否応なく変容させていくネットメディア(とりあえず我々が今そう呼んでいるそれ)以降においては、全ての時制が大きな現在進行形へと内包されていくこの感覚が次第に社会に浸透し、雇用形態や勤務形態などにも変容をもたらしていくのだろう。その先にはもちろん、歴史、宗教、民族や国家といった枠組みのオメガポイントがある。

物語の終焉?小さな物語の爆散?まぁ同じ事だろう。「変化」の記述法がバージョンアップされるのだ。個人=主体が認識可能な変化=差異の総量が書物=アーカイブの総量を累乗係数的に上回る時(※2)、預言は終わる。ティモシーリアリーが壮大なバッドトリップと呼んだ、Alpha et Omegaの物語が博物館のガラスケースに封印される時(※3)、それを眺める我々はどのような時空間にいるのだろうか。おれの勘では、それは改築される前の国立科学博物館の、互いの尾を追跡して回転する白黒2色の恐竜標本のロビー、あるいは父と兄と弟と眺めた長居博物館の巨大なアンモナイト前のあの時空間と、たいして違いはしない筈だ。

しばらく探してようやっと入手した「クラフト」DVDを観る。
廻りと馴染めない女子高生グループがちょっと霊感強いっぽい転校生サラと魔女カヴンを結成し、なんか凄い魔術効いちゃってもう楽しくってしょうがない時期を経て悪のり〜崩壊へと至る青春ドラマ。カヴン結成時にお互いに施すInitiation儀式の描写がちょっと切なくて美しかった、とうろ覚えていたのだが、それほどでもなかった。まぁいいシーンなんだけど。

youtubeから、そのInitiationシーン。



あまたある魔女、魔術もの映画のなかでも、Teenage Witchcraftの切実さと危うさ
をわりときちんと描いている秀作だと思う。制服、女子高生、恋と仲良しグループ、悪魔召喚と、おれ的ストライクゾーンを何重にもレイヤー化した娯楽作品だ。

魔術結社、魔女サークルなんてのは、こういうプリミティブな衝動に突き動かされて自律生成されるべきものだと思う。エコエコアザラクと決定的に違うのは、人種や貧困などの諸問題を背景に、彼女達周縁の存在もまたあるスタイル、魔術的不良のモードを獲得しているところ。魔術効き始めの頃、彼女達は「ワルな魔女」をスタイルとして表明し、生き生きとそれを謳歌する。だから、最後アレがああなった時、おれは実はアレこそが「魔女としての生き方を全うした」バッドヒロインとして微妙に落ち着きの悪い共感を感じたのであった。

おそらく教育的な配慮から、その含みは慎重にぼやかされているのだろうが、おれは監督、あるいは撮影監督が描きたかったChaos Witchの美学を感受したのであった。(※3)すっごくセンシティブにみればね。たぶんアレがもっと可愛くてカッコいい描かれ方をしていれば、全く同じストーリーでも、PTAや倫理なんとかからつるし上げを食らって上映禁止とかになりそう。南部で燃やされたりして。逆にいえば、それだけTeenage Witchはサンフランシスコではあるリアリティを持った社会問題だということだ。(※4)

父が胃がんで摘出手術を受けるとのこと。前にも舌がんをやっているから、まーくるべき時が来たな、という感じ。諸々の事情でなんとなくお互いに疎遠な家族であるが、母からのメールが兄、おれ、弟への同報送信であるところに血族のBIG TIMEと母の威厳を感じる。これから父の、ひいては我々家族全員の、生と死に正面から向き合うことになるのだろう。おれもそういう年になったということだ。

BIG TiME。それは内なるAeonicsの律動だ。
おれはそれを愛する。パチパチと火花をたてて消失していくI amの官能。(※5)


(※1)
久しぶりに対面した彼女から受けた印象は、変わってないなーでも変わったなーでも勿論なく(ほとんど憶えてないのだから!)かつてその人はそこにいて、今またそこにその人がいるという、ピュアな現前性そのものだった。彼女についての記憶や文脈、広く言って我々が時間と呼び慣わしているそれは物語の一形式であり、mixiなどのツールはその物語を常に更新し続ける。一切の物語の拘束力から離脱して出会い酒を飲み笑う時、そこには説明不要な魅力、原初的なAttractionの閃光、まー端的に「笑い」そのものから溢れ出るエロティシズムの充満がある。劇場を解体してかがり火にくべ、祭りの熱狂のなかで恋に落ちろ。いますぐここで、いついかなるときも。93。

(※2)
イスラエルの国立古文書だかには、現存する最古の聖書原典群が核戦争を想定した強固なガラスケースに収納されているらしい。ドカンときたらすぐさまストン、と地下シェルターに滑り込むのだそうだ。既に史上最大の物語はガラスの中。これを書いている時、ちょうどDE DE MOUSE+コトリンゴによる大貫妙子のカバー「メトロポリタン美術館」が流れていた。大好きな絵の中に閉じ込められた。チャン♪ だってさ。


(※3)
アル中の親と貧困、ブラックレザーとPVC、魔術、セックスと破滅衝動を一身に纏った最高にクールでリアルな魔女っ娘に刮目してみて欲しい。おれああいう人に言いよられたら、避ける自信ないかも。まー避けるけど。あるいは指導しちゃったりして。怖い。

(※4)
http://www.amazon.co.jp/dp/0972952950
オーストラリアのイケてる魔女、Fionaと仲間たちの「うちらイケテんし」宣言。
いや実際、こういう勢力にもっとのさばって欲しい。

http://www.amazon.co.jp/dp/0754657841
高い割に写真とか全然ない学術研究書。魔女術にハマった本人の回顧とか収集してて、いわゆるオカルト本にはない生真面目さでインターネット以降の北米ティーン魔女シーンを分析。まぁ、うひょうひょて訳。

(※5)
過去にある種の幻覚体験で、若き日の父の記憶に迷い込んだことがある。
おれは父で、海辺でお気に入りのポロシャツを着てなにかを考えていた。若い父はただ生きることに充足していて、馬鹿っぽくもある活気に溢れていた。まぁおれは父と母がつくりだした彼らの分身なわけで、記憶の深い層に降りていけば共通のI amが蓄積した体験のアーカイブにアクセスすることは充分可能なのだろう。

そういうことは一切書いていない、時間論入門。頭の体操に。
http://www.amazon.co.jp/dp/4061496387



posted by bangi at 23:14| Comment(7) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
"Teenage Witchcraft"という言葉、それが括っているであろうものに、すごくグッときちゃった。ほんと、イケイケにいっちゃって
ほしい勢力であります。言われてみれば、表現法にはいろいろあれど、普遍的なジャンルだったりするよなー。

うちの父もガンで胃を取りましたよ。手術後に、切除した胃を見せられた。あれも魔術か?
Posted by 犬TV at 2008年10月06日 01:59
今気付いたが、「メトロポリタン美術館」の件のくだりのすぐ前のフレーズは、こうなっている。

「タイムトラベルは楽し メトロポリタンミュージアム」

女神アポフェニアとのコンタクトが始まったようだ。
The Apophenion: A Chaos Magick Paradigm / Peter J. Carroll
http://www.amazon.co.jp/dp/1869928652
Posted by bva at 2008年10月06日 02:06
ピュアな現前性かー。
素敵な語感。

やっと最近俺が見た”時間の終焉的”なビジョンを言葉に出来るよ。

そうそう、爆発的に加速した惑星上を覆う神経ネットワークが、やがてその全質量を仮想空間に投影し、惑星自体が”ピュアな現前性”そのものになっていくっていうイメージなんだよね。

Posted by kiyo at 2008年10月06日 02:58
〉犬TV
ティーンは勿論オカルトマーケットのメイン顧客だけど、最大の顧客は最良の批判者でもあり得るはずで、ティーンの感性を中心に据えて部活みたいに継承される魔術があってもいい、というかそれがまさに今起きているTeenage witch現象なのか、と思うですよ。ネガティブにとるだけじゃなく、広い意味でのインディゴチルドレン化としてみてみるとか。ネットによる知の再配分、非時間化のプロセスはそういう影響もあるんじゃないか。

つーか可愛くてバリバリなTeenage witchが発信する音楽とかファッションと出会いたい。日本ではなぜヤマンバになってしまったのかを改めて批判的に反省する必要性。

〉kiyo

かたや、そううまくいくかなーてのもあるけどね。電子神経系の分布も綺麗に均一ではない歪なものにならざるを得ないだろうから、惑星規模のアセンションも当面は奇形的、異形的な様相を呈するのではないかと。安産のためのプリ/アフターケア、政治経済倫理的的アセンション保健学が求められるだろうね。
Posted by bva at 2008年10月06日 06:16
私もクラフト観たことあるー♪スクールガールテイスト&ガーリー&ゴスな世界観が絶妙な感じでキライじゃなかったけど、話も悪くなかったけど、ビミョウに覚えてないからもっかい観たくなった♪稲森寿世ちゃんみたいなカワイイ女子高生4人でクラフトなガールズユニット組んだら売れる。少なくとも女子ウケは絶対!!すんごいメロディアスなサウンドで死にたくなるぐらい暗い歌詞の歌なの。で、みんな妖精みたいにすごい可愛いの。
でも世間的には谷村奈南Gカップなんだろうな。。センスないなー。
93ってなんですか?あたし89ですけどワラ
Posted by milkshake at 2008年10月06日 16:04
「クラフト」はホラーにはまってた中学時代に観た記憶が。
ストーリーとかはもううろ覚えだけど、ピチピチのお姉ちゃん達が魔術をしてはしゃいだりなんだりしてってのが何かツボ。

日本のどこかの女子高生がカブンを作って、こそこそ魔術をして、恋のエンチャントメントなんかしたりしてるのかな、とかなんとか妄想。


Posted by Von Jour.K at 2008年10月06日 20:29
〉milk

そう、つまりいろんな意味でそういうこと!
どこかで誰かに、挨拶風に93!と声掛けられたら、93 and Im 89!て返してあげてください。それで地球は少し不思議になります。

〉von

総評すると、みんな微妙に覚えてない映画、てことだね
Posted by bva at 2008年10月06日 20:49
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