2007年01月18日

こころが、あるきれいな状態

一晩中ビデオをつくり朝帰って夜またくる、そんな数日が続いているとうたた寝の間に微妙に思わせぶりな夢をみる。

こんな夢をみた。

気持ち彩度の落ちた、ブルーグレーの風景。冬の夕方。
画面上手(右手)からさっと風のように女の子がフレームイン。
小柄で丸顔、エスノというか東欧風でヒッピーテイストも感じさせるモダンなスタイルで、手には小さなマンドリンのような楽器を抱いている。後ろ姿を追いかけるので、はっきりと顔はみえない。

彼女はストリートミュージシャンらしく、ブルーグレーの閑散とした雑踏を風のように縫いながら、歌を歌っている。「ともだちの...」という歌詞の断片だけが聞こえてくる。散文的な歌の断片なのだが、その声、ことば、うたには大変説得力があり、「ともだちの...」のワンフレーズだけですべて了解したような、泣きたくなるような、切ない気持ちになる。たったひとこと、たったワンフレーズで瞬間的になにかを、強烈な感化力で人のこころに伝える、振動させる、神秘的なうたのちから、うたい手のちからというものに圧倒される。これが詩、詩人、詩神(MUSE)というものか。

この有無を言わせぬ共感、共振、感化の法悦はどこからくるのか。
「こころが、あるきれいな状態」にあるところから、という閃きを得る。
うたい手は、あるきれいな状態のこころから、聴くものの心に入り込み、共振させる。
うたい手は自ら入神状態となり、神そのものとなって、聴く人の内なる神性を揺さぶる起こす。

現代においてこの神秘的なちからを堂々と行使できるのは、うたい手だけである。
だから革命、暴動、祭祀、戦争、経済活動その他あらゆる「意志の行使」の場で、うたい手は必要とされる。「個」の「自由意志」はうたの陶酔によって麻痺させられ、あとかたもなく溶解されてはじめて、ことばも観念も超えた透明な「真の意志Thelema」へと精製される。うたの錬金術。



夢はこの後、彼女とその一座とともにあちこち歩き回っていくつかの事件、人々と遭遇するエピソードとして続いていくのだが、それはまた機会があれば触れるとして、ブルーグレーの街で出会ったこの少女ミューズについてあれこれ。彼女のイメージは、おれがかつて出会ったあらゆる女性、歌い手の合成イメージだ。とりわけ母、というより母方の血統の匂いが微かに深く感じられる。おれの内なるアニマ(女性性)の、最も現在的な表象が彼女だ、ということなのだろう。

かつて10数年間にわたり夢に繰り返し登場し、あの手この手でおれに対決を挑んできた「古代の邪悪な女の霊」のイメージが、さながら錬金術のように変容・再生した現在結果がかの可憐なる神秘少女であるならば、おれの人生はいまのところまったく問題がないように思われる。

さておき、ではその歌声はどのようであったかというと、おれもそれを具現している、あるいは近い歌声を探してあれこれ検討していたのだが、ディテールはともかく、本質的な部分で「あ、こんな感じ」といえるのが、原田知世が歌う「守ってあげたい」だった。
ちょっと照れる。

夢で聴いたうたの曲調も歌詞ももっと寂しく切ない感じで、むしろ素の「多摩川河原番外地」に近いのだが、知世ちゅわんの声には「あるきれいなこころの状態」の喚起力が強くあるように思えてならない。ユーミンのメロディ、歌詞にもなにかヒントがありそうな気がするが、この曲はデビュー直後の原田知世という類い稀なるシャーマンによって、作者の思惑すら超えたある極み・神的なうたのちからを獲得しているようだ。あーあと、知世女史の面影にはうちの母および母方の親戚筋たちと共通するなにかが見られる。いとこのマキちゃんはふと気がつくとそっくりな気がしないでもない。このあたりは次回の親族会議の議題にあげてみたい。

というわけでいまうちに遊びにくると知世ちゃんの「守ってあげたい」を爆音で繰り返しプレイしながら、内的神性の魔術的変容プロセス、闘争と歌、陶酔と麻痺の果てにたち現れる透明な真の意志、などなどについての熱弁する寝不足気味のおれ、が見られるので興味がある方は遊びにこい。茶菓子か酒もって。以上。


参照リンク:
原田知世
http://www.haradatomoyo.com/

守ってあげたい
http://www.amazon.co.jp/2000-BEST-原田知世/dp/B00005G7MZ/sr=1-1/qid=1169071952/ref=sr_1_1/250-6234735-8246664?ie=UTF8&s=music

素・中ムラサトコ
http://www.kanshin.com/keyword/396033



posted by bangi at 07:22| Comment(8) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
トランス!

夢、ね
こないだの君のビジョンクエストは、不思議なエネルギーの渦を描き始めているよ
思いもしない方向にさ

さて
うた。
言葉が音に乗ると
そこには強烈な魔力が発生するよね

だから人は
歌い続けるんだろうな
Posted by Raven at 2007年01月18日 18:37
追記: 今、おれのPCからスピーカーへと繋がっているケーブルが半差し状態になっていたことに気がついた。つまり、モノラルミックスで聴いていたのだ。 ケーブルを差し直し、本来のステレオミックスで聴いてみると、わお!もろ80年代歌謡曲のリバーブのなかに知世の声は引っ込んでしまった! おそらくリバーブなど空間処理に逆相をふんだんに使ったミックスのため、モノラルミックスにするとそれらが消えて全然違う音になるのだ。 やーなんかボーカルドライで前にでてて、オケも風通しのいい乾いた感じで、時代を感じさせないクオリティにびっくり感動していたのだが、本来のステレオミックスにするとモノラル状態では消えていたリバーブと包み込むような男性コーラスが突如出現してスーパーびっくり。なによりも知世の声の質感を消してしまうモコモコリバーブに激怒したおれは自分用にわざわざモノラルAIFFを書き出して保存してしまった。 皆さんもお手元に音源とPCがあれば、モノラルで書き出し保存して聴いてみて欲しい。

逆相使い過ぎw
Posted by bva at 2007年01月19日 17:05
自分の曲持って乗り込むべし!
Posted by 妃 at 2007年01月20日 04:15
私のアニムスである、夢にでてくる手。
私が困っていると必ず現れて、地球ではないどこかにひょいと連れてって安心させてくれる。
色の黒い男の子。
やっぱりそれも合成イメージなのかしら?
確かに全ての生き物の手が好きです。
Posted by tien at 2007年01月20日 12:43
確かに当時の原田知世はマジでヤバかった。俺の言う“当時”は、数えてみたら20年以上前のことだ。あの頃、俺の愛読誌「月刊ラジオの製作」をパラパラめくっていたら、突如として東芝だったかな、ラジカセの広告がドーンと見開きカラーであらわれて、知世ちゃんが完璧な笑顔で微笑んでいた。星空〜原田知世〜ダブルカセット。あまりの衝撃に、俺はしばらくぼんやりしていた気がする。俺の目は、彼女の笑顔じゃなくて、白い腕にうっすらと生えた産毛に釘付けになっていたのだった。俺も自前の「シングルコレクション82〜88」をこれから聴きます。
Posted by 犬TV at 2007年01月20日 15:35
>妃
つか君に持ち込むよ

>tien
手が好きなのはエロい証拠です

>犬TV
アイドルポップをいろいろモノラルで聴いてみると、発見があるかもね。
スタジオでモノラルでもチェックしてた筈だから、確信犯かも知れない。
知世ちゃん歌かっこいいんだよ。なんでリバーヴで隠したのか、わからん。


Posted by bangi at 2007年01月20日 21:57
知世ちゃんですか。

自分の場合、ここんとこ
「地味目の打楽器と平坦なヴォイスだけの曲が聴きたい」
とゆーのがあって、そー言やジョン・ケージにもそんな曲があったなあ…
と、引っ張り出したのは、ブライアン・イーノがプロデュースしていたobscureシリーズの1枚。
B面がまさにそれでした。

水平線と垂直に交わる持続音的な何か。
Posted by C.S. at 2007年01月22日 03:13
>C.S.
イーノプロデュース盤のB面に平坦な知世が!?(創造的誤読)

Posted by bangi at 2007年01月22日 15:52
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