その足で新宿URGAにて、のなか悟空の新ユニット騒乱武士を観る。
http://homepage2.nifty.com/nonakagoku/goku/
のなかドラムに管6人、あとジャンベとエレキベース。
ぐでんぐでんに激怒してる感じのスローブルースからはじまるも、インプロからさらにフリーになだれ込んでいく流れに勢いと音量がなく、不完全燃焼で1部終わり。
花を渡しに楽屋にお邪魔。のなか氏と鈴木放屁氏。
「一人づつ処刑台にあがるようなソロ」を所望。
第2部。
うわすげえwww
まっさきに処刑台に駆け上がるトロンボーンの若者、事態がよくわかってないようでどうでもいい音とギミック。でもだんだん「なんか変だぞ」と空気を察したようで、最後はそれなりにあがくも、この時点でおれは完全に「こいつはダメだ」と舐め腐る。
印象的だったのは鈴木新(ss)氏。決してフリークアウトせずダンディなフレーズにこだわる。つまりおれ的には地味なのだが、なにかこの人は自分のだせる音を知ってて、それを追求する感じ。のなか悟空のバンドなのにあくまで「フレーズ」で勝負するところが、パンキッシュに感じられるし、エロティックな瞬間もいくつかあった。んーでもなー。
西村直樹(b)氏。手堅くリズムとフレーズを支えつつ、フリークアウトしはじめると「ちょwww 待ってwww ごめんなさいホントwww」て感じまでいく、体力のある人。プロって感じ。ベースには弦が4本あります、てことを完全に忘れているような、演奏というより行為というような。でも素早く手堅いバックに戻ったり。変な人だなー
そんな西村氏のインプロが召喚したのは、のなか悟空。
楽屋で「じゃPAでもっとドラム音量あげてください」といったら「そういうことはしたくない」といってた意味がよくわかった。のなか悟空の凄さは音量じゃない、ということも。大蛇がのたうちまわるような、リズムというよりうねりそのもの。処刑台に駆け上り、思いっきり首を吊って処刑台をぶっ壊す、つまり「フリー」の現場をまざまざと創発しながらも余裕と色気すら感じさせる。
西村氏とのなか氏のバトルが音楽というより召喚魔術になり、エゴの遥か彼方上空の成層圏でプラトー状態に達したあたりで、クラッシー氏のジャンベが風のように滑り込む。
熱いんだか冷たいんだかわからないプラトーの気流が不思議な安定感を醸し出してくると、
きました、鈴木放屁(ts)氏。
別次元の狂気と色気。
最高。
そんなことが起こり得る、ということを目の前で証明されてしまってから、メンバーのしきい値も大きく変動。第1部では多すぎると感じられた管も、縦横奥行きがぐわっと広がったダイナミックレンジのなかでそれぞれ大はしゃぎ。そんななかで特に前向きなバカっぽさを感じさせたが、意外にも先に「ダメだこりゃ」と思ったトロンボーン氏。伸びしろを感じさせる。納得の大団円。次も聴きにこようと思う。
東京というのは面白い街で、地方に住んでればのなか悟空なんて知り得なかったし、知ったとしても生演奏を聴く機会など滅多にないだろう。こうして新宿でのなか悟空と鈴木放屁の演奏を体験できる幸運を噛み締めつつ、会場の客は5人。つまり多くの人には興味の対象でもなく価値もないのだ。
街にはポップスターの顔をでかでか印刷した宣伝トラックが、ぐるぐると虚ろに周回している。あのメッセージは誰が、誰に向けて発信されているのだろう? そこには情報の発信と受信の両端に、人間がいない。体験がない。アノニマスなデベロッパーからアノニマスなコンシューマーへのVirtualなストリームが定義され、誰も歌わず誰も聴かないなかで、ゴーストだけが踊っている。年中無休の死霊の盆踊り。
そしてマスメディアにおいてはアノニマスな場でしかない新宿の某地下では、歓喜と法悦に彩られた処刑台のメロディが、ときどき、稀にだが、確かに鳴り響く。そういう現場に飢え、時としてそこに居合わせた時、おれは東京暮らしがやめられないと思う。
帰宅して爆睡。夢で最新鋭のUFOに出会う。
いいところで目が覚めるも、おれはUFOジャックを試みるべく再び強制夢枕。先の夢のシーンを繰り返し再生しつつ、UFO内部に潜り込む隙をうかがう。
何度かの失敗の末、ようやっと内部に侵入。コックピットは無人で(なんどかグレイ型宇宙人が表れたが、おれはノイズとして消去)、キャビンには緑色の泡立つ液体が入ったガラスの円筒がある。これが思念波を増幅して供給するエンジンのようだ。このUFO、物理的には飛んでいない。思念力によって思念空間に顕現するのだから、機体自体に物理的な飛行能力はなくてもいいのだ。おれは無人のコクピットに座り、操縦法を解析すべく計器とスイッチ群を模索する。意外とアナログだが、主な挙動を制御するのが操縦桿ではなくトラックボールであるところがまぁそれっぽい。
いつか操縦法をマスターしたら、皆さんの夢に遊びにいきます!
http://www.asahi.com/international/update/0118/TKY200801180367.html
そう、まさにそうなんです。騒乱武士 ハイハイ!
てか、誘って欲しかった!
また次回